レセプト(診療報酬明細書)とは
●レセプトとは
日本では国民全員が医療保険に入る義務と権利があります。そのため、病院でかかった 診療費は、患者と保険者の双方に請求する必要があります。 健康保険には、民間企業に勤務している人が加入する健康保険、公務員が加入する共済保険、 自営業者の人たちが加入する国民健康保険など複数の種類があります。 現在では、どの医療保険でも患者負担の割合は3割となっています(一部例外を除く)。 患者さんの自己負担金は、 病院で診察終了後に受付で支払いますが、保険者への請求はレセプト (診療報酬明細書)という書類を提出して診療費の請求を行います。このレセプトを 作成したり点検する事をレセプト業務といい、医療事務の仕事の中心となります。
●レセプト作成
レセプト作成は病院や診療所のほか歯科医院や調剤薬局でも行われます。 一般的なレセプトの作成は、まずその月に診療したすべての患者さんの診療行為の 点数を計算してレセプト(診療報酬明細書)を作成をします。レセプトができたら 医療事務スタッフと医師で再度内容の確認をして、それからレセプトの合計を記載した 診療報酬請求書を作成し、レセプトと一緒に綴じて審査支払期間に提出します。 内容に問題がなく審査に通れば、保険者から診療報酬が各医療機関に支払われる という仕組みです。 (現在では電子化が進み、紙ではなく電子媒体での提出が主流になっています)
●レセプトの記入
レセプト(診療報酬明細書)作成はレセプト用紙に必要事項を記入して行います。 レセプト用紙は基礎データ、点数欄、摘要欄からなっており、基礎データは以下の項目を カルテ(診療録)を見ながら記入していきます。(診療年月、医療機関コード、保険種別、 本人・家族の区分、保険者番号、保険証・被保険者手帳などの記号・番号、氏名・生年月日、 職務上の自由、保険医療機関の所在地及び名称、傷病名、診療開始日、転帰、診療実日数) 点数欄には各診療行為の点数と回数を記入します。この診療行為の点数と薬価点数との 合計で診療報酬が計算されます。
●レセプトの点検
レセプトに不備があった場合は審査支払機関から差し戻されます(返戻)。 差し戻されたレセプトは不備内容を再確認し、適切な内容に修正しなければ ならないので、時間と労力がかかります。また、場合によっては診療報酬額が 請求額より少なく支払われたり(査定)、支払が1ヶ月遅れてしまう事もあります。 診療費が少なければまだ問題にはなりませんが、入院のレセプト(診療報酬明細書)では、 1件でも数百万円のレセプトもありますので、その様なレセプトが査定や返戻されると 病院経営に影響を与える事にもなるので、レセプトの確認は大変重要です。 最近ではレセプトコンピュータ(レセコン)で処理するようになったため間違いは 減りましたが、必要事項が正確に入力されているかのチェックは必要です。 レセプト作成が終了して医療事務スタッフの確認が終了したら、医師にも内容の 確認をしてもらいます。これは診療内容と疾病名が一致しているかを再確認 するためです。大きな病院になるほどレセプトの量も膨大になるため、計画的に 作成して確認の時間を確保するようにする事が必要です。
●診療報酬請求書の作成
レセプトの作成・確認がすべて終了したら、診療報酬請求書を作成します。 診療報酬請求書とはその月のレセプトをすべて集計して1枚にまとめたもので、 レセプトを審査支払機関に提出する際に表紙としてレセプトにつけます。 レセプト提出先の審査支払機関は社会保険診療報酬支払基金と国民保険団体連合会の 2つがあるため、それぞれが決めている綴じ方に従って仕分けします。仕分けが済んだら、 種類ごとにレセプトの件数、日数、点数、患者負担金などを正確に集計し、 診療報酬請求書に記入します。最後に仕分けしたレセプトをまとめ、診療報酬請求書を 表紙にしてひもで綴ります。レセプトは毎月10日締め切りで(支払基金・連合会で 若干異なることもあります)審査支払機関に提出され、内容に問題がなければ診療月の 翌々月21日に診療報酬が支払われます。 (現在では電子化が進み、上記の業務もコンピューター上で処理されるケースが 多くなっています)
●レセプトの差し戻しと再提出
審査支払機関による審査の段階でレセプトの内容に不備が見つかった場合は、 医療機関に差し戻される事があります。これを返戻といいます。返戻の理由としては、 保険証の記号・番号の不備、点数、診療内容と病名の不一致などです。レセプトが 返戻された場合は内容を見直して、注記・修正した上で再提出しなければなりません。 返戻されたレセプトは診療報酬の支払が最低1ヶ月は遅れてしまうため、 返戻を減らす事が医療機関の経営にとって重要です。また、返戻のほか、 請求額から減額されたり減点される事もあります。減点されてしまうと医療機関の 収益にも影響を与える事になります。また医療機関として減点に納得がいかない場合は、 医師と相談の上で6ヶ月以内であれば再審査請求をする事が可能です。